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東京地方裁判所 昭和58年(特わ)88号 判決

本店所在地

東京都新宿区新小川町二番一〇号

富永金属興業株式会社

(右代表者代表取締役富永章次郎)

本籍

東京都新宿区新小川町一〇二番地

住所

同都文京区関口三丁目三番八号

会社役員

富永章次郎

大正八年三月一五日生

右の者らに対する法人税違反被告事件について、当裁判所は審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

一  被告人富永金属興業株式会社を罰金一、六〇〇万円に、被告人富永章次郎を懲役一年にそれぞれ処する。

二  被告人富永章次郎に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人富永金属興業株式会社(以下、「被告会社」という。)は、東京都新宿区新小川町二番一〇号(昭和五七年七月四日以前は、同区新小川町二丁目二番地)に本店を置き、金属製品の販売等を目的とする資本金九、八二〇万円(昭和五四年一二月一九日以前は四、三二〇万円)の株式会社であり、被告人富永章次郎(以下、「被告人」という。)は、被告会社の代表取締役として、同会社の業務全般を統括しているものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、架空仕入を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五三年一二月二一日から同五四年一二月二〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三億一、三八七万一二八円(別紙(一)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五五年二月一九日、東京都新宿区三栄町二四番地所在の所轄四谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二億三、七七五万九、一四四円でこれに対する法人税額が九、一三一万四、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(昭和五八年押第四〇三号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額一億二、一七五万三、六〇〇円と右申告税額との差額三、〇四三万九、一〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)を免れ、

第二  昭和五四年一二月二一日から同五五年一二月二〇日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が三億三、七五〇万一、七九八円(別紙(二)修正損益計算書参照)あったのにかかわらず、同五六年二月一八日、前記四谷税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二億八、一四八万三、九二七円でこれに対する法人税額が一億七九五万六、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(同押号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税一億三、〇三六万六〇〇円と右申告税額との差額二、二四〇万四、四〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する各供述調書(三通)

一  秋田剛志、濱一太郎、富永攻治の検察官に対する各供述調書

一  登記官作成の登記簿謄本

判示各事実ことに過少申告の事実及び別紙(一)、(二)修正損益計算書の公表金額につき

一  押収してある法人税確定申告書二袋(昭和五八年押第四〇三号の1、2)

判示各事実ことに別紙(一)、(二)修正損益計算書中の各当期増減金額欄記載の内容につき

一  収税官吏作成の純仕入高調査書(別紙(一)、(二)修正損益計算書の勘定科目中各〈3〉。以下調査書はいずれも収税官吏が作成したものである。)

一  期末商品棚卸高調査書((一)の〈4〉)

一  期首商品棚卸高調査書((二)の〈2〉)

一  給料調査書((一)、(二)の各〈5〉)

一  厚生福利費調査書((一)の〈8〉)

一  交際費調査書((一)、(二)の各〈11〉)

一  交際費損金不算入額調査書((一)の〈50〉、(二)の〈49〉)

一  受取利息調査書((一)の〈32〉、(二)の〈34〉)

一  受取利息(硬質被模(株)引継分)調査書((二)の〈34〉)

一  雑収入(屑収入分)調査書((一)の〈34〉、(二)の〈36〉)

一  雑収入(未収販売手数料分)調査書((一)の〈34〉)

一  雑益調査書((一)の〈39〉)

一  価格変動準備金繰入額調査書((一)の〈43〉、(二)の〈42〉)

一  損金不算入役員賞与調査書((一)の〈58〉)

一  事業税認定損調査書((一)の〈57〉、(二)の〈54〉)

一  四谷税務署長作成の証明書((一)の〈43〉、(二)の〈42〉)

(法令の適用)

一  罰条

(一)  被告会社

いずれも昭和五六年法律第五四号による改正前の法人税法一六四条一項、一五九条一項、二項

(二)  被告人

いずれも行為時において右改正前の法人税法一五九条一項、裁判時において改正後の法人税法一五九条一項(刑法六条、一〇条により軽い行為時法の刑による。)

二  刑種の選択

被告人につき、いずれも懲役刑選択

三  併合罪の処理

(一)  被告会社

刑法四五条前段、四八条二項

(二)  被告人

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に加重)

四  刑の執行猶予

被告人につき、刑法二五条一項

よって、主文のとおり判決する。

(求刑、被告会社につき罰金一、八〇〇万円、被告人につき懲役一年)

出席検察官 上田勇夫

(裁判官 羽渕清司)

別紙(一)

修正損益計算書

富永金属興業株式会社

自 昭和53年12月21日

至 昭和54年12月20日

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

別紙(二)

修正損益計算書

富永金属興業株式会社

自 昭和54年12月21日

至 昭和55年12月20日

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

別紙(三)

税額計算書

〈省略〉

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